
武道の型
2008年3月29日 会代表:田中弘文
大相撲春場所は、先場所に続いて東西両横綱の相星で千秋楽を迎え、朝青龍が勝ち四場所振りに優勝を飾った。
横綱の土俵入りは大相撲の楽しみの一つだが、この土俵入りには型があり、相撲の攻めと守りを表現した型といわれている。
雲竜型と不知火型がある。
剣術をはじめ、伝統的な武術では、型は非常に大切なもので、その流儀の特徴と、身体運用の理が、型の中に殆ど含まれており、型を知らずに武術を学ぶ事は困難である。
居合道は、各流派に伝承された型があり、日本剣道連盟には制定居合12本の型がある。
居合を修業する者は、この型を身につけることが稽古の本旨となるわけだが、制定居合や古流の型を習い覚えれば居合をマスターしたといえるかといえばそう単純なことではない。
12本の制定居合の型を繰り返し稽古していても、1年間修業した人・5年間修業した人・10年修業の人・20年修業の人・30年修業の人の演じる型は、同じように見えても、その差は大きな違いが出てくる。
その違いはどこにあるのだろうか考えてみた。
初心者は型を習っても土で固めた型である。習い覚えた型を手順通り正しく稽古して身につける。
そして修業を積むと人形のように美しい形が出来てくるが、まだ演じている人の心は表現出来ていない段階。
そして更に修業を積んで、段位が高段者になると型にその人の意思が入り・気迫が加わり・対敵意識が加わって見る人に感動を与えられる個性のある演武の型が出来てくる。
この過程を師の吉成元祥先生は、書道の楷書・行書・草書に例えて、その違いを教えていただいた。また、「正・速・強・威」とも表現された。
正の段階とは
流儀の始めの形に基き、剣の運用と体捌きを学び、敵のいずれを攻め又切るかを正確に身につける。速の段階とは
形の正しさの上に、業の理合いを弁えて、刃筋正しく理にかなった速度を身につける。強の段階とは
正しさと剣の早さの上に、斬撃の効果を十分に出した当たりの強さを迫力ある演武にする。威の段階とは
正・速・強を身につけて、百錬して流儀の奥義を自得し、遅速・緩急・強弱を悟り、残心を会得し、格調高い品位と風格ある境地に到達すること。居合修業の道は険しく遠いと感じるこの頃である。
(2008.3.29)