古流居合について


2006年8月11日 会代表:田中弘文


 全剣連居合は、古流のエキスを基にして考え出されたものである。したがって、居合を修業する者は、その元となっている古流については、常に研究・稽古する必要があります。
古流を学ぶことによって、居合道は何が何でも敵を殺すための業ではなく、必要に応じてやむにやまれず敵を切るのだという居合の精神を知ることが出来る。
居合は戦国時代林崎甚助重信が創案した刀術で、それが各流派に分かれて、無双直伝英進流・夢想神伝流・田宮流・伯鰭流・新陰流・無外流・重信流・関口流・立身流
水鴎流といった流派が今日伝えられている。
  私は、田宮流を学んで19年だが、この田宮流居合も田宮平兵衛重正を祖とし紀州田宮から伊予西条に伝わった田宮神剣流が14代目宗家妻木正麟元信に伝承され、私が学ぶ
師匠の吉成元祥先生に伝わっている技である。田宮流派は他には古田宮流・新田宮流・窪田派田宮流などがある。
古流居合と全剣連居合は同じように見える技でも基本のところで異なっている。一言で言えば全剣連居合は「要義で想定された敵のどこを切るか、場所・高さ・深さなどが細部まで教本で定められており、誰が演武しても同じ居合が抜けなければならないと規定されている。それに対して、古流居合は想定された敵にどのように対応するのかは細かく定められておらず、理合いに反していなければ、同じ流派の同じ技であっても演武者の解釈で異なっても良いとされる。」
  想定は何人の敵か、敵はどこを切ってきたか、それに対して我はどのように対応したか、切った敵はどこに倒れたかなどを目付けと、体の移動と剣の刃筋で表現して行くことが最も大事とされる。
それぞれ教わった師匠の流派によって同じ技でも解釈は異なる。要はムリ・ムダ・ムキのない合理的な居合であればよいとされる。
  私が初心者の頃は、この理屈が分からないで妻木宗家や田宮流の先輩諸先生のご指導される技を一生懸命なぞって稽古を重ねてきた。しかし、10年前に元祥館道場に入門して吉成先生からご指導を受けるようになって初めてこの理屈が分かってきた。
田宮流には、他の流派のように初伝・中伝・奥伝の区別は無く、表の巻11本と虎乱の巻14本の合計25本しかない。しかし、本数が少ないからといって技の習得は容易ではない。19年の修業でも、未だに25本を満足に抜けない有様で、古流居合の奥の深さを痛感している。田宮流の居合の特長は、@後の先の技が多く鞘の内の勝負に妙味があるA座居合が多く体の移動が素早いB位の田宮、美の田宮は残心で表現されるが腰詰め(居合腰)と緩急の間が大事と師匠から指導されている。田宮流の免許皆伝は何時になるやら見当もつかない、はるか遠くの雲の上だ。
(06.8.11)

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